大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(ネ)1222号 判決

ところで控訴人はさらに当審に至つて、控訴人と被控訴人らとの間で昭和三六年七月に本件建物の明渡に関する合意が成立したとの主張を追加した。しかるに記録によると、控訴人は原審の段階で昭和三八年五月一六日付準備書面(第一六回口頭弁論で陳述)により右同旨の主張をしながら、他方同年九月七日の第一三回口頭弁論でこの点は単なる事情として述べるものであると釈明し、さらに昭和三九年五月九日付準備書面(第一七回口頭弁論で陳述)により最終的に主張を整理して右の点は請求原因事実でなく事情であることを再度確認していることが明らかである。このように原審で事実上の主張を整理して争点から明瞭に除外した事項を第二審に至つて何ら特段の事情もなくにわかに態度をひるがえしあらためて事実上の主張に加えることは、故意または重大な過失により時機におくれたものと解すべきはいうまでもなく、この点につきさらに控訴人の証拠申出を容れて十分な審理を遂げようとすれば訴訟の完結を遅延せしめることは明白であるのみならず、かかる訴訟追行上のいわれなき態度変更は、右に述べたような原審以来の経過に照らし相手方との関係において著しく訴訟上の信義にも背くものであり、民事訴訟規則の基本的観念にも合致しない(たとえば第三条、第四条、第二六条、第二〇条)。右の理由により控訴人の新主張はこれを却下する。

(近藤 小堀 藤井)

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